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いびき・睡眠呼吸障害と生活習慣病

太田西ノ内病院 呼吸器科(睡眠呼吸外来)

 30年以上も前から、「習慣性の強いいびきをかく人は、高い頻度で睡眠中に呼吸がとまっている」という事実が知られていた。閉塞性睡眠時無呼吸低換気症候群(OSAHS)いう概念の登場である。さらに、およそ15年ほど前から、「常習的にいびきをかく人は脳梗塞になりやすい」、「習慣性にいびきをかく人は高血圧や狭心症にかかりやすい」という報告がなされるようになった。米国とカナダの睡眠学会が1993年に議会に提出した「目覚めよアメリカ」という報告書では、OSAHSの患者は、一般の市民に比較して、高血圧は2倍、狭心症などの冠動脈疾患が3倍、心筋梗塞や脳血管障害(梗塞や出血)は4倍の頻度があると述べている。他の研究報告では、OSAHSの患者には高い頻度で糖尿病あるいは糖代謝異常があり、また高脂血症などの脂質代謝異常の合併頻度も高いことが分かってきた。最も新しい研究では、OSAHSが老年性痴呆の発症とも関連するとされる。このような事実から、「危険因子重積症候群」という概念が生まれ、いわゆる生活習慣病になりやすい人は、危険因子を重複してもっているというのである。最もショッキングな名前で発表されたのは、「死の四重奏」という症候群で、肥満・耐糖能異常・高トリグリセリド血症・高血圧を併せ持つ患者という意味である。私たちは、これにOSAHSを加えて、「死の五重奏」という名前を提唱しているが、同様に、X症候群として報告されたものは、高インスリン血症・インスリン抵抗性などを併せ持ち、最近ではそれにOSAHSを加えて、Z症候群という名前まで飛び出してきた。いずれにしても、生活習慣病を、高血圧とか、心筋梗塞とか、糖尿病といった具合に、切り離して診療するのは時代遅れで、睡眠の検査までを加えた生活習慣病センターのような発想が必要になっている。

 
 

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