リハビリテーションセンター 作業療法

私達の日常生活に関する諸活動のすべてを「作業」と呼びます。私達の生活は、着替えや排泄等日常的な生活行為であるセルフケア、家事、仕事、余暇、地域活動・・・多くの活動の連続で成り立っています。日々の作業の積み重ねで一人一人の個人史が形成されています。

その人を成り立たせている作業は、病気や加齢による機能低下、事故等による怪我など様々な要因により、うまくできなくなったり縮小したりしてしまいます。
作業療法では、そのような方やそれらが予測される方に対して、あらゆる行為や動作など色々な作業活動を治療手段として、自分らしく生活していく力を獲得していけるよう、治療・指導・援助を行います。

具体的には、下記のような働きかけを行い、患者さんお一人お一人に合わせた対応をとっています。

  1. 作業活動を通じて実際の生活に必要な筋力・関節の動き・感覚機能等の維持・改善を図るとともにスムーズな動きや耐久性の獲得を行う身体機能面に対しての働きかけ
  2. 食事、更衣、排泄など身辺動作や家事動作について、その動作が出来ない原因を評価し、自助具・福祉機器の相談と紹介等を含め、その方に合った適切なやり方・介助方法を訓練・指導する日常生活活動面への働きかけ
  3. 入院や障害により、失われやすい精神活動や生活に対する意欲の維持・改善をはかるとともに、不安を和らげたり、自信づけを行う心理面への働きかけ
  4. 生活に必要な時間・物の扱い方・周囲の状況の認識、物事の記憶、計算、動作の順序や方法を決定し遂行していくなどの能力を評価し、治療・訓練する高次脳機能面への働きかけ

当院は、各センター(総合リハビリテーション、救命救急、脳神経、循環器、呼吸器、血液疾患、地域周産期母子医療など)を有する急性期医療を中心とした総合病院であり、対象者の疾患や、状態、退院先も様々です。
対象は、NICU、GCUに入院されている新生児から後期高齢者までと幅広く、対象疾患は、脳卒中、頭部外傷、パーキンソン病等の神経難病、心疾患、呼吸器疾患、骨折、熱傷、悪性腫瘍、血液疾患、外科的手術後や肺炎などによる活動・機能低下を認める方、発達障害等となっております。

当科では、経験年数に応じた教育システムを整備し、各種研修会の開催や研修会・学会への参加、学会発表や同一法人内の太田熱海病院との合同研修等も随時開催しております。

『あなたらしさに寄り添う作業療法~アイディアと思いやり、そしてユーモアをもって~』をスローガンに“過去・現在・未来をつなぐ”作業療法の提供を目指し、作業療法科一同真摯に取り組んでおります。

学会発表

2018年度

福島県リハビリテーション専門職学術集会

「心疾患患者の自律神経が精神活動へ及ぼす影響
~自律神経機能検査装置による検討~」
半澤 翔吾
「自宅退院へ向け成功体験の関わりを重視し変化がみられた症例」堀江 泰生

第50回福島造血管細胞移植治療研究会

「当院血液疾患センターにおける
作業療法の紹介及び造血幹細胞移植前後の関わりについて」
遠藤 美香

2019年度

第53回日本作業療法学会

「大切な作業を軸とした生活の再構築へ向けて
~肺結核後遺症を有するA氏との介入を通して~」
佐藤 佑香
「地域支援事業における作業療法士の役割とは
~訪問事業を通して再考したこと~」
宗像 暁美
「ICUにおける作業療法介入の一例」添田 輝大

第6回日本臨床作業療法学会学術大会

「作品作りをきっかけに自身の存在意義を確認した一事例佐藤 佑香
「協働により望む生活の再構築に至った一事例
~がんと共存するA氏との関わり~」
宗像 暁美

2020年度

第26回日本心臓リハビリテーション学会学術集会

「役割遂行から全人的苦痛軽減を図った心不全緩和家の一例
~作業療法士だから出来ることとは~」
佐藤 佑香